人間は朝・昼・晩の3回に分けて食事をとるのが社会的に一般的です。(朝を抜いて一日2回という人も多いかとは思いますが。)
自分の食事はそれでいいけれど、猫には1日に何回ご飯をあげるのが果たしてよいのでしょうか。
1日に1回だけ新しいキャットフードを出して、次の日までそのままというケースから、1日に何度も細かく分けて与えるケースまで様々ですが、多くの飼い主さんは、1日2~3回に分けてあげていることが多いようです。
では、実際には猫ちゃんにどのような餌のあげ方がベストと言えるでしょうか?
1目でわかるこの記事の内容
猫に与えるキャットフードの量
1日の回数を考える前に、1日当たりに与えるキャットフードの量が大切です。
猫のライフステージにあった代謝エネルギー量を計算するなどして、愛猫に適した1日あたりのキャットフードなどの量を把握します。
1日に何回に分けて与えるにしろ、キャットフードやおやつなどを合わせたエネルギーの1日の合計量が適切であることが重要です。
猫の採食パターン
猫は元来、群れをなさずに単独で狩をして獲物を捕まえる動物です。
そのため、猫はネズミなどの自分より小さな獲物しか捕えられません。
ネズミ1匹のエネルギー含量は30kcal程度ですので、体重が4~5kgくらいの猫の場合、1日に10匹程度のネズミを捕えて食べなければなりません。
こういった背景から、猫は少量頻回採食者であり、特に食事の時間帯という概念がなく、1日に何回にも分けて食べるのが自然な姿です。
ある実験では、自由採食でいつでも好きなだけキャットフードを食べられる状況に置かれた猫は、1日13~16回に分けて食べ、1回あたりの平均摂取エネルギーが23kcalであったという報告がされています。
この食べる回数と量は、ネズミを捕えて食べていた場合と類似していることがわかります。
祖先が群れで生活していた犬の場合は、集団で狩をして大きな獲物を捕らえるかわりに狩の頻度も低いため、一度に食べる量が多く、次にいつ食べられるかわからないので、なるべく食べられるときにたくさん食べようとします。
猫は、人間とも犬とも採食パターンが異なる動物であるということをまずしっかりと認識しましょう。
1日あたりに与える回数
1日に1回だけ与えるケース
1日分またはやや多めのキャットフードを出して、1日に1回だけ取り替えるというケースです。
先述のように、猫は自由採食にしても自分に適した量を少量ずつ食べることができる動物なので、この与え方でも問題ない猫もいます。
1日に1回だけご飯の準備をしてあげればいいので、飼い主にとっては圧倒的に手間がかからなくて楽なのがメリットです。
しかし自ら適正量に抑えることができず、たくさん食べたがってしまう猫の場合、準備したキャットフードの量が多いと、食べ過ぎて肥満につながる恐れがあります。
逆に、風味の劣化や酸化などのフードの変化に敏感で、小食気味な猫の場合、出されてから時間がたったキャットフードは食べなくなってしまい、エネルギー不足になってしまうこともあります。
ドライフードには、酸化防止剤が含まれていますので、(決して望ましいことではありませんが)1日程度出しておいても大丈夫なものが多数あります。
ただし、酸化防止能力が低めのフードや、嗜好性を高めるために表面に油脂がコーティングされていて酸化しやすいフードなどは、長時間出しておくと猫の体にとって害となることがありますので注意が必要です。
ウェットフードは、水分含有量が多く、酸化防止剤も含まれておりませんので、この与え方の場合には向いていません。
1日に2回与えるケース
朝と、夕方から夜にかけて1回ずつ、2回に分けて与えるケースです。
飼い主が日中に仕事などで留守にしている場合、この与え方をしている人が多いでしょう。
1日に1回だけのケースと比べると、フードの劣化も少なくなります。
飼い主としても、時間の余裕があるときに準備ができますので、手間がかからず楽な範囲内といえるでしょう。
1度に食べるのを適切な量に抑えることのできる猫であれば問題ありませんが、1度に食べる量が多い猫の場合、食べられない時間が長くなってしまいますので、空腹であることのアピールが増え、それに屈して多く与えてしまい、肥満につながりやすい与え方でもあります。
1日に3回与えるケース
朝と、昼から夕方にかけて、夜に1回ずつ、3回に分けて与えるケースです。
日中にも家にいるか、仕事をしていても遅くならない飼い主さんでないと3回以上に分けて与えるのはなかなか難しいでしょう。
フードが出されてから食べきるまでの時間が短くなりますので、フードの劣化が少なくなります。
フードの劣化に敏感な猫でも、十分な量を食べさせやすくなります。
たくさん食べたがる猫にとっても、フードが出される回数が多くなることで胃が空の時間が短くなり、満腹感を感じやすくなる与え方といえます。
1日に4回以上与えるケース
日中も常に家にいる飼い主さんでないとできないケースです。
準備の手間はかかりますが、1回分の量を猫が食べきるまでの回数・時間が少なくなり、猫の採食パターンに近く、フードの劣化も少なくなることが大きなメリットです。
まとめ
1日に何回あげればよいかは、猫個体の食事の傾向にもよりますが、飼い主として無理のない範囲内で、なるべく多くの回数に分けるようにするのが望ましいでしょう。
多頭飼いの場合、1日に与える回数が少ないと、1匹だけの場合と比べると、食べることが競争になってしまい、食べすぎる猫と、食べられない猫が出てきてしまいますので、与える回数を多くすることが、全ての猫に適切な量が行き渡りやすくなる1つの解決策ともなります。
*筆者 yukiya.hi 紹介*
動物好きが高じてペットフード販売業を営む。
大切な家族の一員として、体に良いペットフードをあげたいけれど、どうやって選べばよいのかわからないという飼い主さんに、カウンセリングを通して最適なフード選びを提案しています。