今日では、ペットショップ、スーパー、ホームセンター、ネット通販等あらゆる場所でキャットフードを手軽に購入することができるようになり、猫のご飯としては、キャットフードがスタンダードになっています。
キャットフードが世間一般に浸透する前は、猫にはご飯として猫まんまが与えられていることも一般的でした。
人間にとって、手軽にかきこめるご飯として広く食されていますが、猫まんまを人間ではなく猫に与えた場合、猫の身体に与える影響について解説します。
猫まんまとは
猫まんまと呼ばれるご飯は、主に次の2つです。
・ご飯に鰹節と醤油をかけて混ぜ込んだもの。
・ご飯に味噌汁をかけたもの。
猫まんまとしてどちらをイメージするかは、地域によります。
鰹節には醤油をかける場合とかけない場合もあります。
猫めしや、にゃんこめしなどと呼ばれることもあるようです。
いずれにしろ、余った食事を混ぜたような簡単たものという共通点があります。
猫まんまの栄養と、猫に必要な栄養
三大栄養素
鰹節をかけたもの、味噌汁をかけたもののどちらとも、ご飯がメインとなっており、炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素のバランスを考えると、炭水化物が中心で、タンパク質、脂質の割合は少なくなっています。
猫は完全肉食動物です。
食物には、多くのタンパク質と脂質が必要で、炭水化物は少量がよいのですが、猫まんまは、猫にとって必要な三大栄養素のバランスが逆転してしまっています。
猫もある程度の炭水化物はエネルギー源として利用することができますが、過剰な炭水化物は、消化器官や排泄器官に負担をかけることにもなります。
猫にとって必要な栄養素が少なく、不要な栄養素が多く含まれているわけですので、猫まんまを食べ続けると、猫は栄養失調になります。
味付け
猫まんまは人間の好みに沿った味付けになっていますので、鰹節の場合は醤油が、味噌汁の場合は味噌が多く使われていますので、多量の塩分が含まれます。
健康な猫であれば過剰な塩分は排泄することができますが、腎臓に負担がかかりますので猫まんまのような過剰な塩分は避けるべきです。
腎臓が弱っている猫の場合、腎疾患につながる恐れもあります。
毒性
味噌汁をかける猫まんまでは、味噌汁に長ネギや玉ねぎ、ニラなどのネギ類が含まれていることも多いでしょう。
ネギ属には、アリルプロピルジスルファイドという成分が含まれています。
アリルプロピルジスルファイドは猫の血液中のヘモグロビンを酸化させることで、赤血球を破壊してしまい、貧血や血尿を引き起こします。
他にも中毒症状として、嘔吐・下痢や呼吸困難を引き起こすこともあります。
この成分は、加熱しても毒性が消えませんので、ネギ類が使われた味噌汁を食べることは非常に危険です。
このように、猫まんまは空腹を満たすことはできても猫にとって悪いことずくめです。
以前の日本では、猫まんまのような、(猫にとって)粗悪なものばかりが与えられていたことが、猫の健康状態の悪化や、寿命の短さに繋がっていたと考えられます。
まとめ
大前提として、人間は雑食動物、猫は完全肉食動物で全く食性が異なります。
猫まんまは、人間の食べるものから作られており、あくまでも人間の食べるべきものです。
猫にとって栄養バランスは最悪であるばかりか、病気や中毒の要因にもなります。
猫まんまという名称ではありますが、猫に猫まんまを与えてはいけません。
ご飯と鰹節または味噌汁が余っているのであれば、それは人間が食べましょう。
*筆者 yukiya.hi 紹介*
動物好きが高じてペットフード販売業を営む。
大切な家族の一員として、体に良いペットフードをあげたいけれど、どうやって選べばよいのかわからないという飼い主さんに、カウンセリングを通して最適なフード選びを提案しています。