猫も人間と同じ哺乳類ですので体重の0.2%は塩分です。このため、塩分を摂取することは猫が生きていくためには必須です。

しかし、塩分は多すぎても少なすぎても体に悪い影響を及ぼします。

猫にとって必要な塩分量や、過剰摂取・欠乏時の影響について解説します。

そもそも塩分とは?

塩分とは食物や水などの物質に塩化ナトリウム(NaCl)が含まれている量のことを意味します。

ナトリウム(Na)は細胞が正常に機能する上で重要なミネラルで、塩素(Cl)は細胞外液の濃度の維持に重要な元素です。

汗と必要な塩分量

猫は人間と違って汗をほとんどかかないので、人間と比べると必要な塩分量は少なくなると解説がされている記事がインターネット上では見受けられます。

確かに、人間は全身から汗をかきますが、猫の場合は汗をかく汗腺が足の裏側(肉球)や鼻の頭付近とわずかしかないため、汗をかく量はわずかになります。

このため、汗による塩分の放出はわずかになります。

ただし、体外への食塩排出量のうち、汗から排出されるのはせいぜい2〜5%程度です。

体内で利用されなかった塩分のほとんどは、尿から排出されていますので、汗をかく量が与える影響が、必要な塩分量に与える影響は少ないといえます。

キャットフードに必要な塩分量

それでは、具体的にキャットフードに必要な塩分量はどの程度なのでしょうか?

AAFCO(Association of American Feed Control Official:米国飼料検査官協会)が定めるナトリウムの基準量は、乾物量で0.2%以上となっています。

健康な猫であれば、ナトリウムを多く摂取しても問題なく代謝できるので、塩分の過剰摂取を心配する必要はありません。

FEDIAF(European Pet Food Industry Federation:欧州ペットフード工業連合会)が定めるナトリウムの基準値は0.08%以上で、上限値は不明ですが、健康な猫の場合少なくとも1.5%までは安全だということが確認されています。

キャットフードは、主原料だけでは必要な塩分量に満たないことが多いため、塩分を添加して調整されています。

塩分は喉が渇いて水を飲むことを誘発しますので、尿石症対策のキャットフードには、水を多く飲んで尿の量を多くするために、塩分が多めに添加されていることもあります。

ただし、腎臓や心臓に問題のある猫は注意が必要です。

腎臓や心臓の機能が低下していると、ナトリウムをうまく代謝することができません。塩分は血圧を上げますので、負荷をかけてしまい病状が悪化する懸念があります。

塩分が不足したときに起こる影響

猫のナトリウムの必要量は少ないため不足することは稀ですが、ナトリウム欠乏が起こると、情動不安、心拍数の増加、飲水量の減少及び尿量の増加といった症状が見られます。

また、塩素が欠乏すると、虚弱、成長遅延、カルシウム欠乏症を生じます。

・排尿後に陰部を入念に舐める
・人の体を執拗に舐める

といった行為が見られる場合、不足した塩分をなんとか摂取しようとしている場合がありますので、塩分不足が疑われます。

キャットフードに塩分量を明記することは義務付けられていないため、多くのキャットフードでは塩分量の記載がありません。心配な場合はメーカーに問い合わせるとよいでしょう。

ちなみに、ナトリウムは英語ではsodiumです。sodiumと表記があれば、それはナトリウム量を意味しますので、塩分量に換算できます。

塩分が過剰なときに起こる影響

ナトリウムを過剰に摂取すると、嘔吐および粘膜の乾燥が起こります。

また、塩素の過剰摂取により、血中のカルシウム及びカリウム濃度が変化し、代謝性アシドーシス(呼吸以外の原因で体が賛成に傾きすぎる病状)を引き起こします。

このような症状は、異常な量を摂取した場合ですが、そうではなくとも、定常的に過剰な塩分摂取をすると、腎臓や心臓に負担をかけてしまいます。

過剰な塩分は尿から代謝できるとはいえ、長期的な過剰摂取は避けるべきです。

人間用の食品は、一般的に塩分が多く使われていますので、頻繁に与えると塩分の過剰摂取になってしまう恐れがあります。

キャットフードには猫にとって十分な量の塩分が含まれていますので、人間用の食品を不用意に与えないようにしましょう。

*筆者 yukiua.hi 紹介*

動物好きが高じてペットフード販売業を営む。大切な家族の一員として、体に良いペットフードをあげたいけれど、どうやって選べばよいのかわからないという飼い主さんに、カウンセリングを通して最適なフード選びを提案しています。